2018/06/23
みなさま
梅雨のジメジメした季節ですがいかがお過ごしでしょうか。
さて、医師の福井慶太郎は日本プライマリ・ケア連合学会に所属しています。この学会には医者だけでなく、看護師さんや薬剤師さん、ケアマネジャーさんなどたくさんの職種の方が参加している学会です。
年に一回、全国からみんなが集まって、各自の学びや研究成果を発表する学術集会があり、今年は三重県の津で開催されました。
福井は学会の「医療の質・患者安全委員会」に所属しており、普段から全国の先生たちと一緒に活動しています。そして今回の学術大会では「プライマリ・ケアのchoosing wiselyのリストを作ろう」というワークショップを委員会のメンバーで開催しました。
Choosing wisely(チュージング ワイズリーと読みます)は多くの方が聞いたことのない言葉だと思います。日本ではお医者さんにもあまり知られていない言葉ですが、海外では患者さん方一般の人も知っている言葉です。これは、病院で診療を受けるとき「こうするといい、こうしない方がいい」という箇条書きのリストで、外国では内科学会や小児科学会などのほとんどの主要な学会が出しているものです。
例えばアメリカ内科学会では
- 健康で無症状の人々に対してPET-CT検査によるがん検診プログラムを推奨しない
- 健康で無症状の人々に対して血清CEAなどの腫瘍マーカー検査によるがん検診を推奨しない
- 健康で無症状の人々に対してMRI 検査による脳ドック検査を推奨しない
- 自然軽快するような非特異的な腹痛でのルーチンの腹部CT検査を推奨しない
- 臨床的に適用のないル-チンの尿道バルーンカテーテルの留置を推奨しない
という5つの項目が出されています。日本では当たり前にされていることが、外国では推奨されていないこともあります。このリストは「こうしなければいけない」というものではなく、このリストをきっかけに医療者と患者さんが同じ立場で対話をするのを促すツールです。
日本ではまだまだ知られていないこのChoosing wisely。プライマリ・ケアの現場からその活動を日本に広げるため学会でも頑張りたいと思います。
医師 福井慶太郎